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Metaverse Conference2010 開催レポート

バーチャル&リアルの不動産の融合(矢部俊男氏)

六本木ヒルズなどの複合都市開発を手掛けてきた森ビル株式会社。テナントや関係者へのプレンゼンテーションには模型を使っているが、それに加えて最近では3D技術を使った新しい手法で、コスト削減やより高いエンターテインメント性を見出した。当カンファレンスでは、同社都市開発事業本部総合計画統括部メディア企画室室長の矢部俊男氏が、不動産業界における3D活用について語った。

矢部俊男氏 矢部氏は冒頭で「不動産屋がこのような場でお話しするのは、少し不思議な印象があるかも知れないが」と前置きしつつ、「我々は都市を鳥の視点と人の視点から、わかりやすく伝える必要がある。3Dは人に感動を与えられるという強みがあるが、そこで伝えきれないところでまだ模型を使っている。そこで我々のバーチャルリアリティーの世界では、小型のCCDカメラを使い、模型の中に入り込むというインタラクティブ性を実現した。そして、ハードの価格低下や機能向上を受けて、2005〜2006年頃にVRの世界に入っていくことになり、現在では自社でVRを構築している」と語った。同社のように、自社構築のVRを使って模型の中へ入っていくという行為はARにも通じており、「他社にはない手法」と紹介した。

――不動産業と3Dモデル技術の関わり

矢部氏が所属するメディア企画室は、六本木ヒルズ建設にあたり、デジタル技術やインターネット等でメディアを使ってテナントや投資家などへわかりやすく伝えるための部署として始まった。一昔前までは図面とパーツだけで未来を見通しながら、複合都市開発やプレゼンテーションを行ってきたと言う。恵比寿ガーデンプレイスの開発時には3DのCGを使って説明を始め、これがいわゆるデベロッパーにとっての『デジタル元年』であったそうだ。しかし、96〜97年頃の多くのコンピューターではムービーを動かすのにコストがかかり、シミュレーションにも使えなかったと言う。そこで、同社ではデジタル技術で写真を加工し、それを直接模型に貼りつけて模型制作をするようになった。その後、六本木ヒルズオープニング展覧会において、模型で都市を見せるということにエンターテインメント性が高いことに気が付き、その後は模型とVRの両方で都市をプレゼンテーションしていると言う。最近では東京オリンピック招致の際のIOC評価委員へのプレゼンテーションでの巨大東京模型制作も担当している。

――コスト削減と社内マニュアルの整備

模型とVRの制作において、「共通の作業工程部分を共有することでコスト削減を図れたり、模型とVRの違和感が無くなるというメリットがある。さらに、自社内で社員やアルバイト向けにマニュアルの整備を行い、模型とVRの両方を作成できる他、デベロッパーがシミュレーションするために必要な企画書や提案書などをマルチにこなせる人材の育成などに力を入れている」と語った。

――都市を視覚化、未来を視覚化

矢部俊男氏1996年頃に、六本木ヒルズをIT中心の街にしようとの構想が立ち上がり、デジタル化に備えて研究を行ってきた同社。『都市を視覚化、未来を視覚化』をテーマに話しを続けた。「デベロッパーは、現実空間とバーチャルリアリティーの空間を併せて何が出来るかを考えることが必要なのではないか」と言う矢部氏。同氏が考えるビジネスモデルを有名テーマパークに例えて、「アニメの世界観をすでに体験してから、テーマパークへ足を運ぶから楽しいのであって、どこか地方の遊園地で良くわからないキャラクターに握手を求められても、子どもはあまり楽しくない。我々はいかに人が集まり、いかにお金を使ってもらえるかが大切」と説明し、「3Dを使って事前にその世界観を体験してもらい、六本木ヒルズに来てもらおうと考えている。そこで、不動産業としては現実空間のテナントに、VR内の同じスペースを借りてもらい、現実の空間へ訪れなくても、ショッピングやセミナー参加などVRの中で同じ体験が出来るようにする。また、タウンマネージメントとしては、現実空間で開催するイベントを2つの空間での同時開催や、新しいコミュニティ作り、震災や防災訓練などを行いたい。これまでのシミュレーションからプロモーション、そしてこれからはそのデータを使って次の商売へと活かす」と話した。

――国内の若者を採用し、雇用促進への取り組み

さらに、矢部氏は雇用促進にも言及。「コスト高にはなるが、制作スタッフを国内から採用したい。今まで海外へ発注していたが、良く考えたら自分達のお金で海外の人材を育成しているような感じがしていたので、最近は国内の若い人を採用して仕事を作る体制は、ある意味でCSRに近いのではないか」と語った。

――質疑応答

Q.3Dでお客さんへ見せるということはしているのか?

A.最終的にはそういうところまで行きたいが、我々は研究機関ではないので、常に研究機関と連携を取り、技術と都市のバランスを考えながら進めている。一時期は球形型スクリーンなど色々と考えたが、現在の社長会議などではどちらかと言うと大きなスクリーンで高解像度に見せている。しかし、立体視に関しては近い将来あるかも知れない。

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