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Metaverse Conference2010 開催レポート

3Dインターネット海外最新動向(小池聡氏)

一度、沈静化したかのように見えた3Dインターネット業界。しかし、海外では確実に盛り上がりを見せており、国内でも改めてその期待が高まりつつある。今回のカンファレンスでは、国内の業界を牽引する3Di株式会社の代表取締役社長 小池聡氏が、注目すべき国内外の最新動向を語った。

小池聡氏「3Dインターネットとは言っても、色々な言葉が氾濫している。バーチャルワールド、メタバース、Web 3D、そして3Dインターネットの歴史は古く、インターネットがブームになる前の1980年代から、Habitat氏やMIDメディアラボのネグロポンテ氏が、バーチャルとリアルの研究をしていた。1994年にVRMLで標準化し、後継にX3Dやキャンバス3D、グーグルも昨年にO3Dを発表し、OpenGLやWebGLなど3Dがテーマとなる中で、標準化はどこがとって行くか。そこで注目したいのが、OpenSim(オープンシミュレーター)」と語った。

各国の次世代インターネットにおける3Dへの取り組みについて、アメリカのシンクタンクProject 10X(ワシントン)が発表した『Nextインターネット』の構成要素として、3Dインターネットを挙げていることや、ICT政策に取り組んでいるEC(ヨーロピアン・コミッション)でも、2009年から2010年にかけて80millionユーロの投資を行っていることを紹介した。さらには、シンガポール政府がバーチャルシンガポール構築を打ち立てたMetaversum社へ資金支援を行っていることや、中国軍の訓練シミュレーション、故宮博物院とIBMによる『バーチャル紫禁城』、中国最大の通販サイト『淘宝網』で3Dショッピングなどアジア各国の取り組みに言及。そんなアジアの中でも特に注目すべきニュースとして、韓国政府機関『韓国コンテンツ振興院(KOCCA)』が、仮想世界開発支援事業を実施し、2009年〜2013年に行うプロジェクトの研究費総額は266億ウォン(約20億円)を見込んでいることを紹介。小池氏は、「国家レベルや経済圏レベルで、3Dインターネット等のプロジェクトを進めている。そして日本でも、総務省によるサイバー特区の中で博報堂を中心にメタバース協会も協力しながら、研究が進められている」と続けた。野村総研のロードマップでも、2010年から『マルチバース時代』の到来として、WEBとのシームレス化やオープンソース化の進展をキーワードに挙げている。その他、インテルではFuture Immersive Internetという言葉が、次のバズワードになるのではないかとしているそうだ。また、ガートナーの発表では、「これから2〜5年の間でメインストリームになるだろう」と予測していることも紹介。それに基き、Gary Hayes氏は「2010年はオープンソースベースでブラウザーベースの3Dインターネットワールドが普及していく」と語っている。

――3Dインターネットの標準化

小池氏は、「現在あるVirtual Worldsプラットフォームの多くがClosedな世界。この中でも勝ち組として生き残るところはいくつかあると思うが、過去にAOLなどClosedのオンラインサービスはあった。しかし、インターネットの登場により淘汰された歴史がある。Virtual Worldsも、やはりOpenなものに変わっていくだろう」と分析。その上で、3Dインターネットの標準はOpenSimが一番近いとした。

――オープンソースプロジェクトOpenSim

OpenSimとは、サーバー上に3D空間を構築するオープンソースのソフトウェアのことである。現在、IBMやインテル、マイクロソフトなどのIT企業がサポートしており、世界中のエンジニアが参加し、19名のコアデベロッパーがいる。しかし、小池氏は「グローバルなオープンソースへ日本人が入っていくのは、言葉の壁などがあってなかなか難しい」としながらも「実は3Diの技術者の半分以上は、世界7カ国から来た腕利きの外国人で日々機能を追加しながら、活発なコミュニティとしてバージョンアップしている」との自信を見せた。さらに、インテルが研究開発者向けにOpenSimを利用した教育・研究・コラボレーションなどでの利用を目的として開設されたプロジェクトに同社も協力。その他、IBM によるOpenSimを利用したSameTime3Dの商品化や3Dデータセンターなどの実績を紹介した。また、NTTが3Di社へ出資するなど、国内外問わずOpenSimへの注目度の高さを伺わせた。

――Webブラウザベース

『3Di OpenViewer』と同様のコア技術を使用のオープンソースプロジェクト

3Diビューアー“Rei”

「3Dインターネットの標準化で欠かせないキーワードとなるのが、Webブラウザベース。これまでのClosedなVirtual Worldsの場合は、専用ビューアーをダウンロードして会員登録をすることが必要だった。今までインターネットとVirtual Worldsには大きな壁があり、『Virtual Worlds is Another World』と言われていた。それを繋ぐ意味で、OpenSimをWebブラウザでアクセスできるようにするという課題があった」と話す小池氏。やはり、一手間があることで敷居が高い状態だったからだろうか。「既存のインターネットユーザーが使うことが出来る3D空間をテーマにOpenSimが見れるブラウザベースのビューアーを開発し、現在はInternet ExplorerとFirefoxに対応し、オープンソース化して世界の技術者がビューアーをバージョンアップしている」と続けた。

――Social Web、Social Virtual Worlds

「ソーシャルメディアとの融合が非常に重要」と話す小池氏。自身のベンチャーキャピタリストとしての経験から受けた印象について「昨年はソーシャルゲームやアプリ、Virtual Worlds系がかなりの盛り上がりを見せた。リーマン・ショック後においても大手ベンチャーキャピタルから相当大きな金額が投資されている」と語った。また、2009年10月20日付『impress BB Watch』の「Xbox360、FacebookとTwitterに対応」という記事などを例に挙げ、ゲームやビデオなどのソーシャル化が進んでいる現状を示した。

――Seminar/Meeting

昨年は、ノキアがバーチャルで就職説明会を開催したり、シスコが社内会議やチャネル向けカンファレンスをバーチャル環境で行い、経費削減等に効果を発揮し、非常に盛り上がりを見せている事例を紹介。Think Baim(アメリカ)のレポートによると、2009年第一四半期までのアンケートで『ラーニング』、『トレーニング』、『ミーティング』、『カンファレンス』でVirtual Worldsが有効との考えが示された。その中で3/4以上の企業が3Dインターネット分野に関わる投資、採用をしていきたいと考えているそうだ。しかし、小池氏は「今はまだ種撒きの段階」と話している。

――3D Immersive Communication

小池聡氏現在、3Di社ではOpenSimをベースとしたセミナー主催サービス『3Diイマーシブセミナー(http://seminar.3di.biz)』のオープンβモニター企業を募集している。これは、アバター&3D空間で双方向型セミナーを実現出来るサービスで、経費(交通費)や移動時間、CO2削減やパンデミック対策にも有効だ。昨年11月と12月には、NTTが次世代共創フォーラム『3Dバーチャルセミナー』が行われた。小池氏は「この時の私はラフな格好だったが、アバターがきちんとスーツを着て、私の代わりに講演をしてくれる」とバーチャルならではのメリットを語った。続いて、NTTがバーチャル英会話で教育事業へ参入することを紹介。「現在はスカイプやWebカメラを使ったビデオ会議のような形で行われている。しかし、アンケートを取ると授業を受けたい時間帯は早朝や夜のことが多いが、そのためには身なりを整えたり女性の場合は化粧をし直したりしなければならない。しかし、アバターならばパジャマ姿やお酒を飲んだ後でも問題ない」と、その仮面性のメリットに言及した。また、サンワサプライのECサイト『サンワダイレクト(http://direct.sanwa.co.jp/)』の中で、バーチャルショッピングモールを手掛けたところ、思わぬ反響があったと言う。「普段、車椅子で生活している身体障害者の方から電話をいただき、実際の店舗ではなかなか思うように買い物が出来なかったが、アバターを利用して自由に買い物や走りまわることが出来て非常に感銘を受けた、このような環境がもっと増えて欲しい」と言われたそうだ。さらに、今回のイベントが開催される前日には、就職活動生最大級のコミュニティを持つジョブウェブがバーチャル就職セミナーを行っている。このセミナーでは、3D空間に加え、TwitterやUstreamも活用し、外部アプリケーションを利用したからの意見も聞きつつ非常に面白いセミナーを行ったことを報告。最後に小池氏は今年の展望について「映画やテレビに続き、3Dインターネット元年にしたいので、皆さんと一緒にこの業界を盛り上げていきたい」と語った。

――来場者からの質疑応答

Q.モバイルやスマートフォンからのアクセス状況や利用シーンはあるのか?

A.モバイルの研究もしており、それが出来れば良いとは考えている。しかし、直感的にはパソコンで見るVirtual Worldsをモバイルやスマートフォンで見られるようにすべきかというところでは、若干疑問に思っている。小さな画面でこのような環境を作るのは、なかなか難しいのではないかと考えている。それよりは、それぞれの特性をどう活かすかがキーになってくる。さらに標準化が進めば、一人一体のアバターを持つ時代になり、自分で動かしながらWeb上を歩くケースもあれば、アバターがエージェントとなって私の代わりに調べ物やショッピングをしてくれて、その結果をリアルタイムに携帯電話へ通知してくれるという使い方はあるのではないか。Virtual WorldsはARやデジタル・サイネージなどの分野との連携も出来てくると思うので、やはり、それぞれの特性を活かすことが大事ではないか。

Q.各国の標準化に比べて、日本の動きが遅いのは何故か?

A.今、オープンソース化が活発だが、そのコミュニティーの中に日本人や日本企業が参加していないのは、遅れていると言うより、知らなかったり情報が共有されていないために現状把握が出来ていないようだ。現在、ネットや雑誌などIT系媒体でこの分野を度々取り上げられてはいるが、残念ながらブームのより戻しなどがあって、なかなか情報が伝えられていない。そこで、メタバース協会では海外の動きや標準化の動きに積極的に取り組んで行きたい。特に、アニメやゲームなどのコンテンツやブロードバンド環境やデバイスなどを考えると、日本は国際的にリード出来る技術を持っているので、それを活かさないと非常にもったいないという危機感を私は持っている。

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